約 1,319,903 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2052.html
「では貴君は今回の行動に関して弁明する事は何一つないと? 後詰としての任務を放棄したという抗命罪の嫌疑が掛かっていますが」 「部下の証言は既にお聞き及びでしょう? ならば言う事は何もありませんな」 年老いた貴族の士官が悪びれる様子もなくしれっと答える。 その飄々とした態度に歳若い高級士官は完全に手玉に取られていた。 戦争の経験も無い若造には負けんと言わんばかりに鼻を鳴らす。 それを見てボーウッドは愉快そうに笑みを浮かべた。 かつて同じ釜の飯を食った同僚は、あの頃と変わらぬままだった。 しばらく経ってから老士官とボーウッドは肩を並べて部屋を後にした。 窮屈な態勢に痛む腰を擦りながら彼は上官に親しげに語り掛けた。 「随分と早く終わったな。君が手回してくれたのか?」 「ああ。責任の所在などと言った所で他人の粗探しに過ぎん。 そんな事に貴重な時間を割くのは無駄だからな」 「大した出世振りだな。もっとも君の実力からすれば当然の評価か」 それに比べて自分は何と出世から遠い事か。 一番の出世頭だったボーウッドを例外にしても他の連中にさえ追い越されていく。 自身の性格故と判っていてもそう簡単に変えられるものではない。 ふとボーウッドの言葉に違和感を感じた老士官が問い掛ける。 「しかし君も妙な事を言うな。これでアルビオンの内戦は終結したではないか。 行動を起こすとしても戦後の処理か残党狩り程度だろう? 外敵がいなくなった今、何をそんなに焦る必要があるというんだ」 「……だが議長は新たに敵を作る気でいる」 「もしや他国へ侵攻を始めるというのか!? まだ国内の混乱は続いたままだぞ! 無謀にも程がある!」 「税の大半を軍に注ぎ込んでいるのだ。 国民を納得させる成果が必要なのは理解できるがね」 そう言うボーウッドの顔は苦みばしり、その言葉が額面通りではない事を伝えていた。 確かにアルビオンの軍事力は比類なき物だと自覚している。 しかし狂ったように戦争に終始する国家体制は歪以外の何物でもない。 破滅への道を歩んでいると分かっていても国の決定には従わなければならない。 それが軍人であろうとする彼等の訓示であり誇りだった。 「となると侵攻先はトリステインか」 前王が死去して以来、王宮の腐敗は留まる所がないと聞く。 加えてワルド子爵という内情に通じた人間もいる。 更には婚礼を前にアンリエッタ姫殿下の恋文が公表された事で、 アルブレヒト三世との婚姻を前提としたゲルマニアとの軍事同盟も解消されたという。 偶然にしては出来すぎている、恐らくは内戦中から準備をしていたのだろう。 「ああ。その際、地上部隊を君に指揮して貰いたい」 「は…?」 「まだ決定した訳ではないが、そうなるように手筈は付けている 無論、それに相応しい階級も与えられるだろう」 きょとんとしたままボーウッドの言葉を聞き流す。 せいぜい大隊を指揮するのが関の山の士官がアルビオン地上部隊の指揮官? 戦時任官だとしても有り得ない昇進により歓喜も驚愕も浮かばない。 ようやく言葉の意味を理解した彼がボーウッドに聞き返す。 「何で私なんかが…」 「決まっている。他にやりたがる者がいないからだ」 キッパリと断言するボーウッドに、彼は項垂れるように肩を落とした。 アルビオンの戦闘の花形は竜騎士隊と大艦隊を擁する空軍だ。 地上部隊に期待されるのは残敵の掃討と拠点の制圧ぐらいなもの。 それでも手柄を立てようと名乗り出る者は後を絶たないだろう。 しかし、今度の攻城戦に参加した士官数名が死亡。 残った者達も臆病風に吹かれて指揮官の任命を拒んでいる。 その原因は“ニューカッスル城の怪物”と噂される蒼き獣の存在だ。 そのたった一匹の獣に城内の傭兵達は悉く殺され、竜騎士隊を含む正規軍さえも壊走した。 俄かには信じがたいが生存者から証言が得られた以上、信じる他あるまい。 そして、その混乱を収めるべく議長が怪物の正体を軍上層部にのみ明かした。 “アレはトリステイン王国が世界を支配せんが為に作り出した生物兵器である”と。 それは次の戦いにも、あの怪物が出現するかも知れない事を意味する。 侵略戦争を正当化する為のただの大義名分なのかもしれないが、 命を賭してそれを確かめようとする奇特な人間はいないだろう。 かくして死んでも大した損害にならない老士官へと白羽の矢が立ったのだ。 最悪、侵攻に失敗した際に全ての汚名を被せる事も視野に入れての判断だった。 勿論、ボーウッドも使い捨ての駒として彼を指名した訳ではない。 歳を食っても口の減らない人物だが、戦闘経験はアルビオンの中でも随一だろう。 軍事の才能こそ無いものの、どうすれば兵を生き残らせる事が出来るかを知っている。 それに、かつての同僚として引退前に花を持たせてやりたいとも思っていた。 僅かに考えた後、老士官は口を開いた。 「承諾するに当たって二つほど条件があるんだが」 「良かろう。言ってみたまえ」 「まず一つ目。この戦が終わったら引退しても構わんかね?」 「ああ。希望するのであれば士官学校の教員としての席も用意しよう」 「ありがたい話だが遠慮しておくよ、座りっぱなしは腰に響くのでな。 もう一つ、軍から支給される年金の話なんだが…」 「当然、退任時の階級に合わせて支払われる予定だ」 今の階級と比較して数倍に達するだろう高額の年金。 それを前にして老士官は本気で迷っていた。 彼の人生において、ここまで美味い話は一度としてなかった。 父からも口癖のように“美味すぎる話には飛びつくな”と警告された。 ギャンブルも大負けした事はあっても大勝ちした事はない。 かといって、ここでボーウッドの誘いを断ればまた査問委員会に掛けられるかもしれない。 悩み続ける彼に、ボーウッドは懐から一枚の金貨を取り出した。 「運を天に任せて、こいつで決めるというのはどうかな」 その誘いに彼も頷く。 それならば断るにしても角が立たなくて済むからだ。 彼の了承と同時に、親指で弾かれた金貨が宙を舞う。 回転を繰り返しながら落ちてきたコインを受け止めて手の甲に乗せる。 開かれた手から出て来たのはアルビオン王国の紋章が描かれた表面。 それを目にしたボーウッドが笑いを浮かべて口に出す。 「決まりだな」 「ああ。どうやらそのようだ」 こんな方法で上官を決められてしまう部下達を哀れに思いながら、 老士官は自分の身に圧し掛かる苦労を想像して溜息をついた。 そんな彼の表情は実年齢以上に老けて見える。 しかし、ボーウッドには、まだ彼に告げねばならぬ事実があった。 事前に伝えなかったのは断られるのが目に見えていたからだ。 「艦隊を含めて三千に上る戦力が投入される予定だが、 先の戦闘で恐れを生した傭兵達の穴埋めに別の傭兵部隊が編入される」 「それがどうかしたのか? 別に珍しい話でもあるまい」 「そいつ等が曰く付きの連中でなければな」 「まさか…! その傭兵というのは、あの狂人の!?」 言葉を濁したボーウッドに老士官が詰め寄る。 しかし、それに答えを返したのは彼ではなかった。 突如、響いた靴音に二人の視線が音のした方へ向けられる。 「これは、これは。随分な言われようですな」 その声には不満を感じられない。 むしろ、その評価こそが相応しいと誇るかの如く 噂の張本人は愉しげに自らその場へと姿を現した。 メイジというよりはトロール鬼を思わせる巨体が二人の行く手を塞ぐ。 明らかに嫌悪するかのようにボーウッドは彼に反論する。 「確かに功績だけを見れば君は優秀な兵だよ。 尤もこちらが被った被害に眼を瞑ればの話だがね」 彼の戦い振りを直接目にした事はない。 だが、それは僥倖と言うべきだろう。 報告書に目を通しただけで吐き気が込み上げてくる。 王党派の協力者を探し出して始末する名目で街一つを焼き討ちにし、 森に敵兵が逃げ込めばその周辺の村落ごと森を焼き払う。 彼にとって全てを焼き尽くす事こそが目的。 傭兵をしているのもその手段に過ぎない。 そう思わせるほど彼は道徳と呼ぶべき物が欠落していた。 「これは異な事を。火の特性は分け隔てなく全てを燃やし尽くす事。 私はただ、その在り様に忠実に従っているに過ぎません」 「だが火を弄ぶ者は往々にして自らの炎で焼かれる運命を辿るものだ」 光を失ったという傭兵の眼が静かに二人を見下ろす。 何も見えないはずなのに『何か』を見通すのにも似た不気味な視線。 怖気走るのを堪えてボーウッドは彼に忠告した。 「それもまた本望。炎が我が身を欲するというのであれば、 喜んで魂さえも焼べてご覧に入れましょう」 だが男は厳かな表情を浮かべてそう答えた。 決して冗談で口走った言葉ではない。 まるで始祖に祈りを捧げるかのように、 彼は炎に命を捧げる事さえ厭わない事を宣言したのだ。 この瞬間、ボーウッドは男を理解した。 否。正確には『理解できない事を理解した』のだ。 この男は自分達とは違う生き物、それこそ化け物と呼ぶべき存在。 誰にも理解されずに、誰も理解せずに周囲を破壊するだけの暴力の塊。 それを人間の尺度に当て嵌める事こそ間違っているのだ。 「では、これで失礼させて頂く。 部下達にも準備させておく必要があるのでね」 ゆらりと陽炎が蠢くように男の巨体が二人の横を通り抜けていく。 その後姿を彼等は呆然と見送った。 しかし、ふと思い出したかのように男は振り返り告げた。 「ミスタ・ボーウッド。 貴殿の焼ける匂いはさぞや芳しいものでしょうな」 それは彼なりの褒め言葉だったのかもしれない。 だが、その言葉に感じる物は悪寒でしかない。 吐き捨てるようにボーウッドは言い放つ。 「……狂人め」 それは『白炎』の二つ名を持つ彼、メンヌヴィルに対するボーウッドの正当な評価だった。 彼が去った後も忌々しく廊下を睨むボーウッドに老士官が口を挟む。 「条件をもう一つ加えて良いかな。 頼むからアイツと同じ艦にだけはしないでくれ」 「当然だ。『レキシントン』にも乗せる気もない。 奴は後詰めとして後方の艦に待機させておくつもりだ」 奴を投入すれば敵味方問わずに被害は甚大なものとなるだろう。 怪物には怪物というつもりか、どちらにせよ出番が来ない事を祈るしかあるまい。 だが気掛かりなのはメンヌヴィルだけではない。 彼の脳裏には、トリステインから来たもう一人の怪物の姿が浮かんでいた。 男はその光景を悪夢としか認識出来なかった。 自身の両脇を固めているのは、自分の部下となる筈だった竜騎士隊隊員。 そして抵抗できない自分に抗命罪や敵前逃亡などの罪状が次々と読み上げられていく。 その自分を見下ろすのはワルドの感情の見えない視線。 直属竜騎士隊と交戦し命からがら『レキシントン』に帰還した彼を待っていたもの。 それはワルドの指示による身柄の拘束だった。 独房に監禁されようとも何かしらの手違いと信じて止まなかった。 だが、その事実はここに到ろうとも変わらない。 「よって釈明の余地なく死罪を申し渡す」 そして判決は下った。 処刑人の代わりに彼へと歩み寄ったのはワルドだった。 しかし、その姿は何よりも恐ろしい存在だった。 周囲を見渡しても彼に手を差し伸べる者はいない。 彼とワルドを取り巻く竜騎士隊も、ただ黙って事の成り行きを不動の姿勢で見つめる。 「た、隊長。私はただ…」 「釈明は無用だ」 狼狽する彼の言葉をワルドは遮った。 そして彼を抑えていた部下達を下がらせ、手に持った杖を彼へと放り投げる。 床に転がった杖へと視線が向けられる。 それは拘束時に押収された自分の杖だった。 何故、杖を返すのか疑問に思いながらワルドを見上げる。 男の視線に応えるようにワルドは口を開いた。 「杖を取れ。もし僕を殺せたならば無罪放免だ」 ワルドの声に身を震わせながら杖へと手を伸ばす。 だが、その直前で彼の手は止まった。 あるいは自分の忠誠を試す罠ではないかと疑ったのだ。 しかし手を引こうとした彼にワルドが冷徹に言い放った。 「何かを手にしようと思うならば自らの手で奪うしかない。 僕の命を奪えば、お前は自分の命と隊長の座を手に出来る。 その力も意思も無いというのならただ奪われるだけだ」 ぞくりと男の背筋がその一言に震えた。 ワルドの射抜くような視線が本気である事を告げていた。 何もしなければ間違いなく彼は自分を殺す。 どの道、殺されるのならば抵抗した方がまだ可能性はある。 落ちていた杖を力強く握り締める。 直属竜騎士隊に劣っていたのは空戦能力だけの筈だ。 魔法の腕は誰にも負けないという自負がある。 ワルドに悟られぬように小声で詠唱を終える。 全ての準備を終えた後で再びワルドを見上げる。 その手は杖に掛かっておらず詠唱さえもしていない。 勝利を確信して男の口元は歪んだ。 刹那。ワルドへと振り上げられた杖は宙を舞っていた。 血飛沫を撒き散らす自分の腕と共に。 「……え?」 腕を斬られた事に男が気付いたのは、彼の腕が地面に落ちた後だった。 痛みなど感じる間もなく突き付けられるワルドの杖。 斬られた腕を抑えながら男は悲鳴を上げた。 しかし何も感じぬままワルドはその口内に杖を押し込んだ。 エア・ニードルを帯びたそれは頭蓋を穿ち、男の脳髄を突き刺し抉った。 ワイン樽に空けられた穴の様に、男の頭部から夥しい血が零れ落ちる。 その惨状を前にしても竜騎士隊は目を背けずにワルドの言葉を待つ。 「よく見ておけ。これが任務を果たせぬ者、敗れた者の末路だ。 奪われたくなければ奪うしかない、例えそれが何であろうともだ」 杖を引き抜き、両の手を血に染めながらワルドは言葉を紡ぐ。 それは彼自身が導き出した、この世界の真理だった。 狂気に満ちた彼の姿を目の当たりにしたシェフィールドの顔に愉悦が浮かぶ。 自らの実力を示して信頼を得ると共に、その恐怖によって鉄の規律を布く。 それがこの公開処刑を行ったワルドの思惑だったのだろう。 確かに、これで竜騎士隊は文字通り彼の手足となって働く筈だ。 だけど以前の彼であれば、このような手段は取らなかった。 無為に味方に犠牲者を出す事を嫌い、反論していたワルドはもういない。 ここまでの豹変を遂げた彼には『進化』という言葉こそ相応しい。 ならばこそバオーの相手に相応しいのかもしれない。 バオーについて、主から下された命は“ワルドに全て任せよ”それだけだった。 捕獲とも処分とも明確な指示はなく、その言葉にシェフィールドは困惑を示した。 バオーにさして興味を感じなかったのか、それともバオーに世界を滅ぼされる事を是としなかったのか。 理由こそ判別が付かなかったものの、どちらに転んでもいいように彼女は手を尽くす。 軍上層部にバオーの正体をトリステインの生物兵器と伝えたのも、その一手。 最悪、トリステインがバオーの存在を他国に隠匿していた事実も、 バオーの屍と資料さえあれば世界に納得させる事が出来る。 そして、それはトリステインという国の危険性へと挿げ替えられる。 アルビオンだけではなくハルケギニア全ての敵として認識されるだろう。 一番恐れるべきは事前にバオーが処分される事だけ。 しかし、それとてトリステインの総力を上げても出来るかどうか。 あるいはアルビオンの侵攻を待たずに滅びるかもしれない。 「さてマザリーニ枢機卿のお手並みを拝見させて頂きましょうか」 まるで自分の手番が終わった棋士のように、 シェフィールドは対戦相手の思慮する姿に思い馳せていた。 火竜が森の上空を滑空するように飛ぶ。 周囲は霞掛かり、目視で索敵する事は不可能。 戦闘空域を離れて相当な距離を飛んでいた筈だが、 自分が何処を飛んでいるのかさえも皆目見当が付かない。 「霧が深いな。まだ追撃してくる敵はいるか?」 (……いや、敵どころか味方の姿も見えないな) 隊長の言葉に、彼の使い魔である火竜が返答する。 最初は彼が何を言っているのか理解出来なかった。 視界を覆う程の霧など森の何処にも掛かっていない。 もし自分の視界を共有されていたら、気付かれていただろう。 霞んでいるのは、彼の眼に映る景色だけだという事に。 火竜は知った。もう彼と共に戦場を駆ける事は出来ないのだと…。 「連中なら大丈夫だ。きっと命令を守って生き延びるさ。 全く、隊長の俺だけが命令を果たせんとは不甲斐ないな」 赤黒く染まった脇腹に添えられた手。 その指の隙間から湧き水の如く血が溢れ出る。 艦隊から放たれた散弾は確実に彼の身を抉っていた。 それを押して尚、彼は部下に悟られぬまま指示を出したのだ。 誰にも知られる事も語られる事もなき武勇。 それを彼の騎竜として心より誇りに思う。 傷だらけとなった火竜の翼に彼の手が添えられる。 新たに付けられた傷の下にも数多くの古傷が残されている。 それは共に戦場を駆け抜けた二人だけの勲章。 その一つ一つを彼は昨日の事のように思い出す。 今もなお褪せる事なく彼の目蓋の裏に浮かぶ一匹の竜との出会い。 その出会いは、英雄を夢見た彼の行く末を決定付けた。 「今までありがとう我が生涯の友よ」 (何を礼を述べる事がある? 感謝すべきは私の方だ、我が主にして無二の友よ) 臆面もなく使い魔は主に感謝を告げた。 奇跡とも呼べる確率で彼は主人と出会った。 その日から、彼はその眼で主の成長を見届けた。 少年が青年に、青年が遂に英雄となる姿に立ち会ったのだ。 それも傍観者ではなく彼の相棒としてだ。 そのような幸運に恵まれる竜が、どれ程いるというのか。 「俺は、あの背中に追いつけたのか…?」 (勿論だとも。お前以上の英雄など五人と居るまい。 いや、どの様な者がいようとも私の英雄はお前一人だ) 世辞でも誤魔化しでもなく火竜はそう確信していた。 アルビオンを発った者達は決して彼の事を忘れないだろう。 孫の、その孫の世代に渡ろうとも彼等の活躍は語り継がれる。 その命が尽きようともアルビオンの魂と共に存在し続ける。 そして、いつの日か彼の背を追い英雄を目指す者が現れるだろう。 「それは、光栄だな」 不意に手綱に掛かる力が緩む。 意識さえも朦朧としているのか、落ちそうになる主を必死に支える。 眼下に広がるのは一面の森。 街であれば即座に憲兵へと引き渡されるだろうが、 ここならば身を隠すには都合が良い。 火竜が急降下して森へと不時着する。 翼を切り裂く枝にも構う事なく、彼をその場へと降ろした。 息も絶え絶えに、彼の目は色彩は失っていた。 火竜にも、もう助からない事は判っていた。 ならばこそ心静かに終焉を遂げさせたかったのだ。 もう何も映さなくなった瞳。 その代わりに走馬灯のように浮かぶ過去の記憶。 目指した道を突き進み、何物にも変えがたい戦友達を得て、 騎士の誉れとすべき主君達と巡り合えた。 そして、最後に果たすべき務めを終えた今、心残りなど何もない。 何もないというのに……。 「やっぱり、死ぬのは怖いなあ」 気が付けば、当たり前の事を彼は最期に口にしていた。 力を失い、緩やかに途切れた呼吸。 その亡骸に寄り添うように火竜は身を伏せた。 共に死ぬという約束、それだけが火竜に残された最後の支え。 この程度の手傷で死に至る事はないだろうが、いずれは飢えて死ぬだろう。 直後、火竜は身を起こした。 彼の感覚が此処に近付く人間の足音を感知したのだ。 それも一人ではない。少なく見積もっても四、五人はいるだろう。 樵や猟師がそんな徒党を組み筈が無い。 何処に落ちたかは知らないが残党狩りの手が及んでいたのか。 此処で退けば主の屍は晒され、敵兵に辱められるだろう。 何よりも主の下に旅発つ事に何の恐れがあろうか。 火竜の上げた咆哮が森を揺るがす。 近付く者を威嚇する雄叫びは、亡き主への嘆きの声にも似ていた…。
https://w.atwiki.jp/nenohitohatiue/pages/865.html
◇===================================== カード名 . ..: ゼロシフト 無 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ レアリティ...: Zero≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ カードスキル : 自場アルマを消滅し、それを元にエゴシフト。手札にエゴがあればそのままリアライズ/自[エンディング]全消滅≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ステータス. . : コスト:5 SP:1 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ フレーバー .: =====================================◇ +口上 ゼロより次へ、歩み出す。ここより先は未知へと繋がる虹の橋。始まったなら、次へと進む。―― 今こそ繋げ、観測世界!ゼロ・リアライズ![ゼロシフト]!by菜月昴
https://w.atwiki.jp/rockmanxdive/pages/77.html
この項目は現在制作途中です #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 性能スキルゼロナックル シールドブーメラン パッシブスキル貫通エナジー 心頭滅却 シールド強化 ライフ吸収 育成パッシブスキル解放素材貫通エナジー 心頭滅却 シールド強化 ライフ吸収 入手方法 特徴 性能 スキル ゼロナックル 範囲内の目標に攻撃力255.92%のダメージを与え、行動不能にさせる。 ダメ率アップ ダメージ倍率が5%アップ。 武器破壊 命中した目標を攻撃弱化状態にし、与えるダメージを31.74%減少させる。 武装解除 命中した目標を一定確率で武器使用不可にする。 シールドブーメラン シールドを構え、前方からの攻撃を防ぎ、被ダメージが60%になる。展開中に再度スキルアイコンをタップで前方にシールドを投擲し、一定距離を飛ぶと手元に戻る。また、目標を貫通し、貫通後のダメージが25%になる。 射程アップ ブーメランの射程が25%増加。 ダメ率アップ ブーメランのダメージ倍率が10%上昇。 クイック冷却 クールタイムが20%短縮される。 パッシブスキル 貫通エナジー ブーメランの貫通後のダメージが40%アップ。 心頭滅却 ゼロナックルを発動すると、しばらくダメージを一切受けない無敵状態になる。 シールド強化 シールドで攻撃をガードする際、被ダメージが42%になる。 ライフ吸収 ゼロナックルが目標に命中すると、一定確率で目標のライフを吸収し、攻撃力26.4%分のライフを回復する。 育成 パッシブスキル解放素材 貫通エナジー 心頭滅却 シールド強化 ライフ吸収 入手方法 ダイブカプセル 開催内容により、排出対象でない場合があります。 ショップ 常設ショップ(キャラの断片) イベント 特徴 ロックマンゼロシリーズの主人公。 XDiVEではAランクキャラとして登場。 アクティブスキルが両方とも扱いづらい武器であるため、ハッキリ言って扱いづらいキャラクター。 ゼロナックルは攻撃力が非常に高いが射程がかなり短く、ほぼ接触している状態でないと攻撃が届かない場合が多い。また、パッシブスキルで発動後しばらく無敵になる心頭滅却やライフ吸収を覚得ることができるが、ゼロナックルを当てるために接近してダメージを受けた後に無敵になってもあまり意味がなく、ライフ吸収も一定確率であるため発動しない場合が多い。加えてライフ吸収できても攻撃力の26.4%ほどなので回復量もあまり期待できない。心頭滅却の時間はかなり短く、あえてゼロナックルを空振りして無敵時間で接近するといった戦法も期待できない。 シールドブーメランについては正面の防御しかできないことに加えて正面からの攻撃も完全には防ぐことはできず、パッシブスキルのシールド強化を取得したとしても半分ほどのダメージは受けてしまうため他のバリア持ち、特に全体バリアを持っているキャラと比べると見劣りしてしまう。 一応対人戦用に武装解除という武器を使用不可にする装備もあるが、ゼロナックルを当てる必要がある上に一定確率での発動なのでリスクが高い。 以上のように非常に扱いづらいゼロだがこのゼロを効率よく運用することができればそれはかなりのプレイヤースキルを持っている人と言えるかもしれない。 みんなもテツクズ扱いされないよう頑張って使いこなそう! 8月20日の上方修正で一部性能が変更された。公式サイトの発表では以下の通り。 スキル【ゼロナックル】:ダメージ有効範囲を拡大。 スキル【シールドブーメラン】:エネルギーシールドを構えた際の受けるダメージが70%から60%に減少。地形を貫通するように変更。 パッシブスキル【シールド強化】:受けるダメージが56%から42%減少。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/www-iris/pages/1890.html
【名前】 ゼロウイルス 【読み方】 ぜろういるす 【分類】 用語 【登場作品】 『トランスミッション』 【詳細】 『トランスミッション』におけるキーワード。 名前の通りウイルスで、それもエグゼのザコ敵のようなウイルスではなく、現実のコンピュータウイルスのような性質を見せる。 ゼロウイルスは電子機器に感染し、機能を低下させてしまう。 なんとネットナビにも感染し、感染したネットナビは暴走してしまう。 おまけにこのウイルスは常に進化し続けており、どんなワクチンを作ろうとその場しのぎにしかならず、消すためには大元のマザーウイルスを叩くしかないという代物である。 このゼロウイルスを中心に『トランスミッション』のストーリーが展開される。 元々の開発者はかのWWWの首領Dr.ワイリー。 しかし、諸事情あって一旦このウイルスは凍結されていたが、『1』でWWWが壊滅させられたのちにワイリーの助手であった「教授」がこのウイルスを呼び覚ました。 そして、教授に命じられたスターマンが、ニセのワクチンとしてこのウイルスをばら撒いていた。 このウイルスは上でも軽く触れた通り、マザーウイルスからゼロウイルスが生み出されている。 そして、生み出されたゼロウイルスは端末として得た情報をマザーウイルスへと送っていた。 その送っていた情報の中にはナビの「心」「感情」も含まれており、その情報がマザーウイルス…ゼロに自我を生じさせた。 アニメ版 最終シリーズ『BEAST+』に登場。 教授が作り出した新たなウイルスであり、現実世界への実体化が可能という特徴を持つ。 ウイルスの種類は「ゼロ」を筆頭に、前作『BEAST』のグレイガ軍・ファルザー軍の獣化ウイルスやナイトメアの姿をしたもので占められる。 また、感染するという性質を持っている。 第13話「穴掘り野郎がやってきた!」、第14話「暴走メットール」では、並行世界「ビヨンダード」からやってきた堀杉土太郎とミスタープレスの弟子となっている巨大メットール「マッハツルハシ」に感染し、実体化・暴走していた。 ゼロウイルスに感染した場合の対処法が確立されていないのだが、土太郎・プレスとの友情で正気に戻っていた。 教授がネット警察に逮捕された第18話「ゼロの魂」以降は出現していないため、全滅したと思われる。 【余談】 『ロックマンX5』にも同名のコンピューターウイルスが登場しており、こちらも(ロックマンXの)ゼロによく似た形をしていて、レプリロイド(ロボット)にとりつくことで悪影響を及ぼす。 取りついた者を暴走させてしまう性質はどちらかというと『ロックマンX6』に登場するナイトメアウィルスの方が近いが、こちらも元はと言えばゼロのDNAデータから作り出されたものであり、ゼロとは決して無縁の存在ではない。 このゼロウイルスが元ネタなのか、エグゼの世界観に合わせた結果こうなっただけの偶然の一致なのかは定かではない。
https://w.atwiki.jp/sinnerei/pages/2179.html
【作品名】コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー 【ジャンル】漫画 【名前】魔王ゼロ 【属性】ルルーシュ&C.C.の融合 【年齢】200歳以上 【長所】最早アニメのルルーシュの面影がどこにもないほど強い、生身で複数のKMFを殴り倒し瞬殺できるくらい強い 生身が強いだけではなく、ギアスの能力も原作アニメのルルーシュとは天と地ほどの差があるほど強い 【短所】この漫画ではC.C.の死後、今度はルルーシュが不死となり魔王の役目を引き継いで世界中にギアスをばら撒くことになった 本作ではナナリーが主人公なのに魔王ゼロの方がインパクトあるせいで影薄い 【備考】ルルーシュとC.C.が融合した存在(性交的な意味ではなく文字通りの意味で)。 つまりこのキャラはルルーシュでありC.C.でもある。C.C.はこの漫画の作中でも数百年前からいると語られているので200歳以上。 魔王ゼロとなって以降もルルーシュとC.C.の記憶は両者とも継続されているので200歳以上となる。 vol.3
https://w.atwiki.jp/librastra/pages/491.html
出典 コードギアス(※独立mlt) 種族 【人間】 プロフィール 〈教会〉にてゲンドウと同じく参謀を務める男。 冷徹且つ冷静な謀術を編み出している為、上層部から注目されている。 彼が此処まで〈教会〉に尽くす理由は、【聖女】の存在にあるようだが……? その他プロフィール なし キャラクタースペック ├(0):ゼロ├【戦闘力】:030│┣―――【体】06 〔1〕【力】05 〔2〕【技】16 〔3〕【魔】11 〔4〕【速】08│┣―――[CS]〚コマンダー〛│┣―――[AS]〚デッドリーショット〛 [AS]〚ポイズンバレット〛│└――…z...._______________________├【体】06:([St.R]"0")□□□□□ □____├【力】05:([St.R]"0")□□□□□ _____├【技】16:([St.R]"1")□□□□□ □____├【魔】11:([St.R]"1")□____ _____└【速】08:([St.R]"0")□□□□□ □□□__ 装備【アイテム】 一枠目 ┌〘サバイヴガン〙├①:【技】の【スペック】を"01"〔上昇〕。├②:【魔】の【スペック】を"01"〔上昇〕。└③:【速】の【スペック】を"04"〔上昇〕。 ニ枠目 なし 三枠目 なし [キャラクタースキル] ┌〚コマンダー〛├[属性スキル]├①:〔味方〕の"兵士"及び〔自身〕と同陣営に所属している〔キャラクター〕一人に付き、├〔自身〕以外の〔味方〕の"兵士"及び〔自身〕と同陣営に所属している〔キャラクター〕の├【体】以外の【スペック】を"10"〔上昇〕させる。├②:〔"指揮"・"戦闘"・"逃走"に関する判定にボーナス値〕を加える。│ 「戦況を分析し戦術を組み立て、味方に的確な戦闘指示を送る素質。└ 〚カリスマ〛と違う点は味方への鼓舞というより、如何に効率良く駒を進めるかという面にある。」 [アサルトスキル] [LV.1] ┌〚デッドリーショット〛├(必要[AG]:"010")├◎:【技】が〔選択〕された時に〔発動〕する。├①:〔選出〕された〔相手〕の【スペック】を"05"〔減少〕させる。│ 「急所を狙い澄まし、相手の戦術を切り崩す【スキル】。└ 早撃ち且つ的確な射撃は不可避の一撃であり、相手は何が起こったのか判らないまま倒れる。」 [LV.2] ┌〚ポイズンバレット〛├(必要[AG]:"020")├[弱体スキル]/〔CT〕05├◎:【魔】が〔選択〕された時に〔発動〕する。├①:〔自身〕の【魔】を"03"〔上昇〕させる。├②:〔選出〕された〔相手〕を、〔"050%"の確率〕で〔【麻痺】状態を付与〕する。│ 「神経毒を仕込んだ銃弾を相手に打ち込む【スキル】。└ 一撃が直撃せずとも、肉体に掠っただけで神経毒は作用する。」 [LV.3] なし
https://w.atwiki.jp/sumirenohana/pages/104.html
入手方法 植物からの入手方法 栽培元 状態(咲いた状態,枯れた状態) 黄緑の球根 咲いた状態 滾る情熱の愛の苗 咲いた状態 どこか可愛く微笑む球根 咲いた状態 白の種 咲いた状態 宇宙からの飛来物:無 ナノ鋳造機での生成先 生成先 個数 備考 吸収剤 1 花草の餌 1 特記事項 吸収剤の素材なのである程度は必要。 自然にいくつか手に入り、わたっ娘の綿の方が少なくなる。 花草の餌と吸収剤の両方が必要なケースであれば重要度は若干高くなる。 このページへのリンク元 どこか可愛く微笑む球根 吸収剤 子供の頃の思い出の球根 深緑の種 滾る情熱の愛の苗 白の球根 白の種 花草の餌 黄緑の球根 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/varia0907/pages/64.html
ゼロガの紹介文
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1063.html
「……随分と大変な事をしてくれたものじゃ」 窓から赤い光が差し込む学長室。 その重厚な椅子に座り、オールド・オスマンは、扉近くに立つルイズに、ほっほっと笑いながら話しかけた。 まるで近所の御爺さんのようなオスマンに、ルイズはニコリとも笑わず、ただ立ち尽くしているだけだ。 「さて……ここに呼ばれた理由は分かっているかの?」 「はい、禁止されていた貴族間の決闘を行った事ですね」 淀みなく答えるルイズに、オスマンは、そうじゃ、と頷きながら髭を擦る。 長くて真っ白の髭は、オスマンが自分の身体で一番自慢できるものだ。 「ルールが何故あるか……分かるな、ミス・ヴァリエール?」 「ルールを誰一人守らなければ、国は、法は正しく動きません」 「そうじゃ……例え、それが生徒同士の喧嘩が原因で発展した決闘であったとしても、それをそのままにしておくと、確実にルールは無くなる。 故に、ミス・ヴァリエール。君に今回の件の罰を与える」 罰と言う言葉にもルイズは動じない。ただ在るがままを受け入れる水のように、ただそこに居る。 「君に1週間の謹慎処分を与える。1週間、ルールの重要性について、確りと思い返しなさい」 「はい」 ルイズは罰を聞くと、すぐに踵を返し、学長室を後にしようとするが 「これ、まだ老人の長話は終わっとらんぞ」 オスマンの声に身体を急停止させる。 「まだ何か?」 オスマンに振り返らず、後ろを向いたままのルイズに、ぼけぼけとした学長室の空気が変わった。 「本当に……わしがしようとしている話が分からぬか、ヴァリエール」 「ミスを付けてください。幾らオールド・オスマンと言えど、呼び捨てはいけません。 さっき、貴方は言いました。ルールは守るべきだと。 貴族は貴族同士を敬い、助け合う。その為に相手に対する礼儀は必要ですよね?」 「ミス・ヴァリエール!!」 オスマンの雷鳴の如き声が、学長室に響き渡る。 事務仕事で話に入ってこなかったロングビルでさえ、ビクッと思わず反応してしまった声だったが、 ルイズは後ろ向きのまま先程と同じように微動だにしていない。 「ミスタ・グラモンが、魔法を使えなくなったそうじゃ」 「…………」 「さらに言うと、君が彼と決闘をして、君が去る時に彼は自分で自分の首を絞めたそうじゃな」 「さぁ……私は自分の眼で見ていないのでなんとも……」 「話を誤魔化すのもいい加減にせんか!!!!」 立ち上がり、声を荒げるオスマンにルイズは振り返り―――――― 「誤魔化してなどいません!!」 学長室に来てから初めて声を荒げた。 「彼は、私を侮辱しました!」 「侮辱程度で魔法を使えなくし、殺そうとしたと言うのか!!」 オスマンの怒声に、ルイズは肩を揺らした。 それは別に、今更このオスマンの声に恐れをなした訳ではない。 侮辱“程度”!? この男は、侮辱程度と言ったのか!? オスマンの言葉に、ホワイトスネイクを嗾けなかったのは、ルイズに残っていた僅かな自制心から来るものであった。 その自制心で、自身を律したルイズは、オスマンへと向き、静かに淡々と、だが、荒々しく言葉を紡ぐ。 「では、オールド・オスマン―――貴方に尋ねます。 貴方は、他の人に使えて当然。なのに、自分はそれを使えなくて、使える者達と同じ扱いを受けた事はありますか!? その事で、お情けを貰ってるだとか、家の名前だけで、居座っていると、言われた事はありますか!? 他の者が、使えて当然のモノを、これ見よがしに見せ付けてきて、使えない事を詰られた事がありますか!? いつも、陰口を叩かれて、話しかけてくる者達が、挨拶のように馬鹿にしてきた事がありますか!? 自分よりも下の者に、使えない癖に、何を偉ぶっていると思われた事はありますか!?――――――」 それは、聖歌のよう透明であり それは、狂歌のように終わりがなく それは、鎮魂歌のよう悲しみに溢れていた 聞くに堪えない、言葉の羅列に、ミス・ロングビルどころかオールド・オスマンすら、その目を見開き、ルイズを見つめるしかない。 「貴方は……貴方は、家族に使えない事を心配された事がありますか!? 誰よりも、何よりも尊敬している目標の人に、使えない者として見られた事がありますか!? 自分を表す二つ名が……使えない事の意味を持つ言葉にされた事はありますか!? それを、皆が……使える者達が……毎日のように………… 毎日のように私に言ってくる気持ちが……貴方に分かりますか―――オールド・オスマン!!!!」 これが、ギーシュを殺害寸前まで追い込んだ、ルイズの感情の正体だった。 最初は、ただの劣等感であった。 それが、一年と言う月日で、様々な要因で歪んでいき……目の前の少女となった。 オスマンは思う。 もしも、ミス・ヴァリエールが召喚した者が、この奇妙な姿をしている者ではなく、もっと普通な…… そう、魔法を奪えるような力を持ってさえいなければ、この感情と折り合いをつけて、生活していただろう。 しかし、運命の悪戯か、ブリミルはなんという者達を出逢わせてしまったのか。 歪んだ感情の捌け口を求めていた少女と、偶然、その捌け口にピッタリ合う力を持っていた使い魔。 オスマンは所詮使える者だ。 ルイズの苦しみが、どれ程のものなのか、知る由も無い。 どうすれば良いと言うのだ、自分に。 一体どうやって、雨の中に置き去りにされたような目をした少女を救えば良いと言うのだ。 「…………ミス・ロングビル」 名前を呼ばれて、我に返ったロングビルがオスマンを見る。 それに対して、オスマンはただ頷くだけ。 「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 今日は、色々とあって疲れただろう……もう部屋に帰って休みなさい…… 罰に関しては、後日改めて――――――」 「貴方は!! 常に見下されて生活したことが―――!!」 「もう良い!!! もう、十分に伝わった…… 眠りなさい、ミス・ヴァリエール。 眠って、眠って、眠って……その身体を休めてくれ……」 オスマンは、それだけ告げて、椅子に深く腰を下ろした。 ルイズは、まだ何か言っていたが、ロングビルに連れられて、学長室を後にする。 ホワイトスネイクもその後を追う。 そうして、学長室にただ一人残されたオスマンは 悲しそうに、ほほっと笑う、その顔には後悔しか浮かんでいない。 「一年……たったの一年じゃ…… 一年前のミス・ヴァリエールは希望に満ち溢れていた。 自分が使える魔法を見つける為に、あらゆる努力をしていた…… そんな彼女を……ここは一年であそこまでにしてしまった…… ……悔やんでも悔やみきれんな」 そう言って、オスマンは静かに目を瞑り、何処とも知れぬ者に祈りを捧げた。 どうか、あの少女に眠りの中だけは安息が訪れるようにと…… 「頼む……返して……僕の……まほっ……」 真夜中の医務室。 そこに現在眠っている人間は三人。 一人は、精肉屋に行く為の下拵えをされたマリコルヌ。 もう一人は、貴族に勝った平民、平賀才人。 そして、最後の一人、ギーシュ・ド・グラモンは、ルイズに魔法DISCを奪われる瞬間の夢を見ていた。 それは、正しく悪夢だった。 彼の持つ、全てを、魔法も碌に扱う事の出来ない『ゼロ』に粉々にされる悪夢。 「うわっ……わ……あぁぁ……来る……来るな……・・・僕に……近づくなぁ!!」 「きゃっ!」 悪夢での自分の叫びを現実でそのまま叫んだギーシュは、それで目が覚めた。 慌てて自分の首を確かめてみるが、何にも束縛されていない。 きちんと、呼吸が出来る。 「良かったぁ……」 「……あの―――」 「うわっぁあぁぁぁ!!」 声を掛けられたショックで、またも大声を上げるギーシュであったが、そういえば、さっき、小さな悲鳴が聞こえたなぁと思い、落ち着いて回りを良く見てみると、闇に溶け込むかのような黒髪をしたメイドが、水差しを持ってこちらを見ていた。 忘れもしない……自分が、こうなるキッカケを作ったメイドだ。 「おまえっ!!」 立ち上がり、メイドの肩を掴むと、メイドは声を荒げ。手を振り解こうとする。 「おっ、落ち着いてください!! ミスタ・グラモン!!」 「落ち着ける訳が無いだろう!! お前の所為で、僕は、僕は!!」 ―――魔法が使えなくなったんだぞ!! そう叫ぼうとして、初めて、それをギーシュは正気の中で認識した。 自分は……魔法が使えない……惨めな『ゼロ』になってしまったのか…… ギーシュは、夢にも思わなかった。 本来使えるべきモノが使えない苦痛が、これ程のモノとは。 なるほど……ルイズは、これを毎日味わっていたのか。 恐らく、最初から使えない者の苦悩は、これの何倍も大きいのだろう。 そんな苦悩を持った者に、自分は、一体何を言ったのか。 ――――――魔法も使えぬ奴が貴族を語るな!!―――――― 違う……違うのだ。 今、分かった。 彼女は、別に偉ぶって、貴族らしくしていた訳では無い。 魔法を使えない彼女にとって、貴族とは最後の拠り所。 魔法も使えず、貴族も否定されたなら、一体彼女は何なのか? 「くそっ……僕が……僕が馬鹿だったのか……」 もっと早く気付けば良かった。 彼女の居場所を奪ってしまった自分の一言に。 「謝りに……謝りに行かないと……」 「お待ちください、ミスタ・グラモン! まだ、動いては駄目です! お身体に障ります!」 「邪魔をしないでくれ! ルイズに……ヴァリエールに謝りに行かないといけないんだ!」 今度は、メイドがギーシュの肩を掴み止めに入るが、 これでも、一応は男であるギーシュに体格差で負けている少女が止められるはずが無かった。 「わかっ、わかりました。ミス・ヴァリエールの元へ行く事を許可しますから このお薬を飲んでください」 「何の薬だい、これ?」 ポケットから薬包紙に包まれた粉末状の薬を取り出したメイドは、ミス・モンモラシからの差し入れです、と答えてくれた。 「モンモラシーからか……そういえば、彼女にも心配を掛けてしまったな」 自分に駆け寄ってきてくれた時の、彼女の悲痛な表情を思い出したギーシュは、その薬を一気に呷りメイドから手渡された水差しで喉の奥へと流し込む。 「どうですか、お薬の味は?」 「良薬口に苦しだよ。う~、マズいなぁ、もう」 「そうでしたか……結構高かったんですけどねぇ、そのお薬……」 ルイズは、自室のベッドの上でシーツに包まり丸くなっていた。 自分は魔法を使えるようになっている。 それも、自分を見下していた奴から手に入れたDISCで。 そう思うと、ルイズは夕方あれだけ取り乱していたのが嘘のような笑みを浮かべていた。 自分は、一年間を、劣等感の中で暮らしてきた。 今、思い返しても、あの一年間は反吐が出る。 だが、それも明日から……いいや、今夜から変わる。 最高の気分でルイズは、魔法で燈したランプを、また魔法で消す。 明日は早くから、あの平民の様子を見に行かなきゃならない。 ご主人様に無断で使い魔のルーンを譲渡したのに、最初は怒りを覚えたが、ホワイトスネイクの台詞でその怒りも消えた。 ―――適材適所……全テノ力ニハ、相応シイ者ガ居ル。アノ、ルーンモ、ソノ類ダッタダケダ――― そうだ、適材適所だ。 あの平民が、私のルーンを扱うように、あんな貴族らしからぬ、ただ魔法が使えるだけの無能共の才能は、もっと毅然とした人間に与えられるべき者だ。 ただ、魔法が使えるだけで貴族と名乗っている連中は、豚のように地べたを這いずり回って『ゼロ』の気分を体感させてやる!! 「見返してやるわ……私を、私を『ゼロ』と呼んだ全てのメイジを…… うぅん、全ての人間を、絶対に見返してやるわ!」 あの目障りな優男の才能は奪ってやったので、後は、いつも、いつも、私を侮辱していた、あの精肉屋に並ぶべき豚と、自分を『ゼロ』と呼んでくる、忌々しいツェルプストーの女。 「一先ずは、この二人をね。 まぁ、後は……おいおい、決めていけば……ふぁぁぁああぁぁ……良いかな……」 トロンとした目付きで、夢心地に入るルイズは、そういえば、キュルケを無能にする時に邪魔をした奴も居たわねぇ、と思い出した。 だが、すぐにそれも忘れる。 また邪魔してきたら諸共奪えば良いし、邪魔をしてこなかったら、それで良い。 自分の記憶の限りでは、あの娘は確か…… 私の事を『ゼロ』とは読んでないのだ……か……ら…… 「ヤット……眠ッタカ……」 ルイズが夢の世界へと旅立った事を確認すると、ホワイトスネイクは椅子に腰掛ける。 「平賀才人……カ……」 珍しく物思いに耽るホワイトスネイクは、あの『黄金の精神』を持った少年の事を思い出していた。 あの少年の持っていた『覚悟』 あれは、もしや…… 「……イヤ、気ノ所為ダナ……ソンナハズ絶対ニ無イ」 そう呟く、ホワイトスネイクの言葉は、誰にも、少なくとも、ホワイトスネイクの耳にすら届いていなかった。 第三話 戻る 第四話
https://w.atwiki.jp/10932tb/pages/465.html
【種別】 時の列車 仮面ライダーゼロノス アイテムと武装 桜井侑斗 デネブ 【名前】 ゼロライナー 【よみがな】 ぜろらいなー 【使用者】 仮面ライダーゼロノス 【登場話】 第19話~ 仮面ライダーゼロノスの専用車両。ゼロライナーナギナタとドリルと2両編成。 時間の中を疾走する時の列車。時間を過去、現在、未来、と行き来する 2007年の現在、突然良太郎達の前に姿を現した桜井侑斗が使用する。 デンライナーのオーナーはその存在を認識してはいたが、消えた時間と共に消滅したと思っていた。しかし侑斗は「ある事の為に列車を預かっただけ」と話す。 デンライナーと違い、侑斗の意志で好きな時、好きな場所に呼び出すことが出来る。また、操縦するときはゼロノスカードをセットして行う。 戦闘時には連結武装しデンライナーと共に集中砲火をあびせる。車両は戦闘の状況に前後を入れ替える事が可能。フリーエネルギーで形成されるレールと同様にターンテーブルが形成され前後の車両を入れ替える。空中戦はレールを形成させ車両を連結する。 車両には居住するスペースもあり、食事もする事ができる。侑斗の食事は契約イマジンであるデネブが作る。この居住スペースで寝泊りをするが、星が好きな侑斗は列車の外に出て、夜空の下で寝袋を使い、野宿をする事が多い。 【ゼロライナーの謎】 ある事の為のゼロライナー(ネタバレを含む クリックすると開きます) ゼロライナーが最初に現れたのは現代の桜井と恋人の野上愛理が希望が丘で星の観察に来ていた時、突然上空から飛来した。 誰がこの二人にゼロライナーを仕向けたのかは不明のままTVシリーズのドラマは終了している。 野上愛理と現代の桜井との間に生まれる未来の子供がカイのたくらむ時間改変の妨げになっている事がこの電王の物語の重要な鍵となっており、この鍵を隠すため現代の桜井は過去の自分、桜井侑斗にゼロライナーを預け、時間の大幅な改変をする。恋人の愛理の記憶をゼロノスカードで消し様々な過去の時間へ飛び、来るその日までカイの標的になりカイを翻弄した。また過去の自分にゼロノスカードを使用させる事によりそれまでになかった新しい未来を刻ませ、その影響でこれまでの時間を消去する事で更に奥深いところまで逃げ続けた。この影響で現代の桜井を知る人物の記憶は消され現代に存在しているはずの自分も消滅させてしまう無謀な行為に出た。良太郎達がカイに勝利するか否で イマジンが暗躍する未来か?新しい未来か?どちらの分岐点の未来にいくのかその勝負に全てを託す。 良太郎達が勝利し、全てを過去の自分に託しカイの時間改変から自分の未来の子供で特異点のハナを隠しとおした。ハナはこの時間改変の影響で大人から子供へ体が変化。二人の出会いの時間が大幅にズレたが、過去の桜井侑斗と現代に生きる野上愛理が必ず結ばれる事を意味している。 こぼれ話 撮影で使用されるゼロライナーの後部デッキは独自の形状であるが、目をこらすとその模様のような突起物は持ち帰り弁当の入れ物を再利用したものである。 【関連するページ】 アイテムと武装 オープニング カイ ギガンデスヘブン ギガンデスヘル シルバーライナー デンライナー トータスイマジン(ウサギ) ドリル ナギナタ ネガデンライナー ネタバレと噂 ハナ マシンゼロホーン ライダー ライダーチケット 凄いというか、もう電車じゃないよね、アレ 出来事 劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生! 新しい路線 時の列車 時間改変 消滅した未来 神の路線 第19話 第20話 第22話 第35話 第38話 謎と伏線 黒い竜の形をした怪物